第69回 九州大学歯学部同窓会 福岡支部主催 学術講演会
「明日から診療に役立つ鼻科診療のはなし −歯科治療との接点を中心に- 」
講師:
九州大学大学院歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 口腔顎顔面外科学分野 教授
森山 雅文 先生
九州大学大学院医学研究院 耳鼻咽喉科学教室 助教
宮本 雄介 先生
令和6年6月19日(水)、森山雅文先生と宮本雄介先生をお迎えし、午後7時30分より福岡県歯科医師会館視聴覚室にて上記演題でご講演をいただいた。
「歯科」において「耳鼻咽喉科」は、その治療領域の近さを考えると、切っても切り離せない診療における重要なパートナーである。しかしながら「医科」と「歯科」の間の壁もあり、いまだに治療協力や情報交流が不十分な面も多い。
本講演では、そんな現状を打破すべく、分野の垣根を越えて協力を深めているお二人の講師をお迎えし、境界領域に対する双方の医療連携をご紹介いただいた。
まずは森山雅文先生より、歯科医療において頻度が高い上顎に関するトラブルについてご説明いただいた。
上顎洞への異物迷入や瘻孔について、代表的な例をお示しいただくとともに、早期に対応する際のキーポイントについて、詳細かつ分かりやすくお教えいただいた。実際には一般歯科での対応が難しく、速やかに口腔外科に紹介すべきケースもあるため、その判別についてもご教授いただいた。
また、口腔外科のみで対応するのではなく、耳鼻咽喉科との連係を必要とする場合も多く、その有効性についてもご解説いただいた。耳鼻咽喉科との連係については、最近では上顎骨の移動を伴う外科矯正手術においても重要性が高まっており、今後さらに進める必要性を改めて知る機会となった。
続いて宮本雄介先生より、歯科医に知っていただきたい上顎洞疾患についてご紹介いただいた。
代表的な疾患である上顎洞炎と、その鑑別疾患について、X線およびCT画像などを用いた鑑別法をお教えいただくとともに、耳鼻咽喉科におけるそれぞれの治療法についてご説明いただいた。内視鏡を用いた手術法については、多くの動画を用いて分かりやすくご解説いただき、普段接することの少ない術式について触れる貴重な機会となった。
境界領域を含む両科の連係が、単一診療科では難しい疾患に立ち向かう際の大きなメリットになることを、改めて実感することのできる内容であった。
本講演では、口腔外科医だけでなく一般歯科医にも多数ご参加いただき、臨床歯科医にとって接する機会の少ない隣接医学の知識を得る貴重な機会となった。お二人が互いをリスペクトしつつ連係を模索する姿を拝見し、「医科」と「歯科」の連係がさらに進んでいくことに期待が膨らむ夜となった。
村田 直久 記
