第71回 福岡支部主催 学術講演会が開催されました

第71回 九州大学歯学部同窓会 福岡支部主催 学術講演会
「歯根吸収の診断と治療戦略 」
講師: 福岡市ご開業
野間デンタルオフィス天神 院長
野間 俊宏 先生


令和7年6月25日(水)、野間 俊宏先生をお迎えし、午後7時30分より福岡県歯科医師会館視聴覚室にて上記演題でご講演をいただいた。
日々の臨床において歯根吸収は、頻繁に認められるものではないものの必ず遭遇することもある症例である。しかしながら、一方で正しい治療方針の立案や治療オプションの選択が困難であるというイメージが先行する症例ではないだろうか。本講演では、こういったわたくし達臨床家の現状を打破すべく、エンドドンティストとして、臨床家と指導者の両輪でグローバルに活躍される野間先生に、歯根吸収の診断から治療の実際についての勘所についてご教授いただいた。


講演ではまず、歯根吸収の概論として、内部歯根吸収と外部歯根吸収の双方について、分類と発症機序・病態機序について詳しく解説いただいた。次に、本講演のメイントピックである歯頚部外部吸収についての概論とともに診断・治療指針の実際について示していただいた。歯頚部外部吸収は近年増加傾向にあることやCBCTでの診断が極めて有効であることに触れられながら、病変の範囲が広範囲に及ぶと予後不良となること、急速に進行することがあり早期発見・早期介入が望まれること、そして外傷や矯正治療の既往がある場合は注意が必要であることなどを説明していただき、歯頚部外部吸収に遭遇した際の明確な治療指針を示していただいた。講演の後半は、豊富な症例提示とともに治療の実際や予後の解説までを提示していただいた。


本講演の中で紹介していただいた、CBCTを用いた横断研究では、CBCTを撮影をした患者の15.7%に歯頚部外部吸収が認められるとあった。予想よりも遥かに大きな割合に驚くとともに、一方で臨床の現場において歯頚部外部吸収に気付けていない可能性についても深く考えさせられるお話であった。早期発見・早期介入が肝要であるという野間先生のメッセージを鑑みても、もしかしたら歯頚部外部吸収ではないかという目線で日々のデンタルX線写真を見ることの大切さ、そして疑わしい場合は躊躇なくCBCT撮影に踏み切ることの有効性について、はっきりとした治療スタンスを確立できた貴重な機会であった。

スペシャリストの貴重な知見を拝聴し、明日からの日常臨床においても違った目線で臨むことができることに期待が膨らむ夜となった。